ピロリ菌検査
ピロリ菌とは
ピロリ菌(Helicobacter pylori)は、胃の粘膜にすみつく細菌で、長期間感染すると慢性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃がんなどを引き起こすことがあります。
当院では、胃カメラ検査と組み合わせてピロリ菌の有無を調べ、必要に応じて除菌治療を行っています。
保険でピロリ菌検査ができる条件
ピロリ菌検査が保険適用となるのは、胃カメラで「慢性胃炎」またはそれに準ずる所見が確認された場合です。
健康診断結果のみ・自覚症状のみでは保険適用になりません。胃カメラで慢性胃炎が確認された後、以下の方法から状況に応じて検査を行います。
検査方法(保険)
1. 尿素呼気試験(UBT)
- 息を吹くだけの高精度検査です。除菌判定にも適しています。
- 準備:胃酸を抑える薬(PPI/タケキャブ)や抗菌薬は結果に影響するため、1〜2週間の休薬をお願いする場合があります(中止可否は事前に医師へご相談ください)。
- 流れ:バッグに息を吹く → 試薬内服 → 安静 → 再度息を吹く(所要20〜30分)。
- 結果:外部検査機関で分析し、約1週間後にご説明します。
2. 便中抗原検査
- 便を採取するだけの検査で、小児や胃カメラが難しい方にも適しています。
- 自宅で採便してクリニックに持参していただきます。除菌判定にも用いられます。
- 結果:外部検査機関で測定し、約1週間後にご説明します。
3. 血清HP抗体測定
- 採血のみ・食事制限なしで行える検査です。現在/過去の感染を反映するため、解釈は胃カメラ所見と合わせて行います。
- 注意:除菌後もしばらく抗体が陽性のことがあるため、除菌判定には不向きです。
- 結果:外部検査機関で分析し、約1週間後にご説明します。
4. 迅速ウレアーゼ試験(RUT:胃カメラ時)
- 胃カメラで採取した生検組織を用いる院内検査です。短時間で結果が得られるのが特長です。
- 結果:検査当日に医師からご説明します。
- 注意:PPIなどの影響で偽陰性となる場合があります。除菌判定には通常使用しません。
除菌治療について
検査が陽性の場合、保険診療で除菌治療を行います。通常は1週間の内服(抗菌薬2種+胃酸抑制薬)を行い、1〜2か月後にUBTまたは便中抗原で除菌判定をします。
1回目で除菌できなかった場合は、再除菌(第2次除菌)まで保険適用で対応可能です。
検査・除菌の流れ
- 胃カメラで慢性胃炎などの所見を確認
- ピロリ菌検査を実施(UBT/便中抗原/血清抗体/RUTから適切に選択)
- 陽性なら除菌治療(1週間)
- 1〜2か月後にUBTまたは便中抗原で除菌判定
よくある質問
胃カメラを受けないと保険でピロリ菌検査はできませんか?
はい。保険適用には胃カメラで慢性胃炎などの所見が確認されていることが必要です。胃カメラなしでピロリ菌の有無だけ知りたい場合は、自費検査(尿素呼気試験・血清抗体)をご利用ください。
除菌後の判定はどの方法で行いますか?
原則として尿素呼気試験(UBT)または便中抗原検査で行います。血清抗体は除菌後もしばらく陽性が続くため、判定には適しません。
PPI(胃酸を抑える薬)を飲んでいます。検査に影響しますか?
UBT・RUTは影響を受けることがあります。可能であれば1〜2週間の休薬をご相談ください(自己判断で中止せず、必ず医師にご確認ください)。
よくある質問まとめページはこちら → FAQ(まとめページ)へ
自費検査との違い
まずピロリ菌の有無だけ知りたい方や、胃カメラ前にスクリーニングしたい方には、自費検査(尿素呼気試験・血清抗体測定)もご用意しています。
詳細は自費ピロリ菌検査のページをご覧ください。
まとめ
- 保険適用は胃カメラで慢性胃炎の所見がある場合。
- 検査法はUBT/便中抗原/血清抗体/RUTの4つ(目的と状況で使い分け)。
- 除菌後の判定はUBTまたは便中抗原で行う。
