大腸カメラ 品質レポート (2026年4月)
更新日:2026年5月21日
大腸カメラは「苦痛なく受けられること」に加えて、 「どれだけ確実にポリープを発見できるか」「安全に配慮されているか」が極めて重要です。
内視鏡医の技術・使用機器・観察の丁寧さによって、ポリープの発見率は施設間で大きく異なることが、国内外の研究で明らかになっています。
当院では、客観的なデータに基づいて検査の質を毎月ふり返り、透明性をもって公開することで、根拠のある医療を提供しています。
📊 当院の品質指標が患者さんにとって意味すること
当院の累計ADR(腺腫発見率)62.7%は、検査を受けた方の約3人に2人でポリープが発見されていることを示します。
欧米の消化器内視鏡学会(ASGE・ESGE)が推奨する目標値は「全体で25〜30%以上」であり、当院の実績はこの推奨値を継続して上回っています。
重要なのは、当院では数値を人為的に高く見せる要因(便潜血陽性の方など、元々ポリープが見つかりやすい患者さん)を計算から厳格に除外し、純粋な検査精度のみを測定している点です。
この厳しい基準のもとで高い発見率を維持することは、将来の大腸がん予防に直結する重要な指標といえます。
1. 今月の主要指標(2026年4月)
大腸カメラ 全体検査数
45件
腺腫発見率(ADR)
77.3%
この数値が高いほど、見落としの少ない検査といえます。
参考:欧米消化器内視鏡学会(ASGE・ESGE)推奨目標
全体25〜30%以上
鋸歯状病変検出率(SSLDR)
9.1%
参考:国内外文献で参照される基準の一例
6%以上
盲腸到達率(CIR)
100.0%
参考:欧米専門学会推奨基準
95%以上
※ADR・SSLDRは「評価適応数(分母B:22件)」を分母として算出しています。
※分母Bは、便潜血陽性・IBD・既知腫瘍フォロー等を除外した厳格な基準による件数です(詳細は下記をご参照ください)。
※単月の数値は症例数や患者背景により変動するため、累計データも併せてご覧ください。
2. 累計データ(2025年9月〜2026年4月)
単月データより症例数が多く、当院の恒常的な検査品質をより安定的に示す指標です。
※合算は「分子・分母を合算して再計算」しています。
累計:全体検査数
265件
累計:ADR
62.7%
参考:ASGE・ESGE推奨目標
全体25〜30%以上
累計:SSLDR
20.6%
6%以上
累計:盲腸到達率(CIR)
99.6%
95%以上
※参考:累計APC(1検査あたりの平均腺腫切除数)= 1.49(腺腫切除数188 ÷ 評価適応数126)
3. 安全性への取り組み(2026年4月)
今月はポリープ切除後の出血を1件、検査後の嘔吐(鎮静剤関連)を1件記録しました。
いずれも大腸内視鏡検査において起こりうる事象であり、一般的な発生率の範囲内でした。
当院では発生した事象をすべて記録し、毎月スタッフ間で共有・ふり返りを行うことで、安全管理体制の継続的な改善に取り組んでいます。
4. 全データ開示(2026年4月)
| 項目 | 値 | 補足 |
|---|---|---|
| 年月 | 2026年4月 | - |
| 分母A(全検査数) | 45 | 当月実施した大腸内視鏡の総数 |
| 分母B(評価適応数) | 22 | 厳格な除外基準を適用後の評価対象数 |
| ADR(腺腫発見率) | 77.27% | 17件 ÷ 22件 |
| 腺腫発見件数 | 17 | - |
| 腺腫切除数 | 41 | - |
| APC(1件あたり腺腫切除数) | 1.86 | 41 ÷ 22 |
| SSLDR(鋸歯状病変検出率) | 9.09% | 2件 ÷ 22件 |
| SSL発見件数 | 2 | - |
| CIR(盲腸到達率) | 100.00% | 45件 ÷ 45件 |
| 撤退時間≧6分達成率 | 100.00% | 45件 ÷ 45件 |
| 前処置適正率 | 97.78% | 44件 ÷ 45件 |
| NNPR①(非腫瘍切除率) | 4.55% | 1件 ÷ 22件 |
| NNPR②(正常粘膜切除率) | 0.00% | 0件 ÷ 45件 |
| 後出血数/後出血率 | 1件(2.22%) | - |
| 鎮静関連有害事象数/発生率 | 1件(2.22%) | 検査後の嘔吐 |
| 平均年齢 | 48.7歳 | - |
指標の定義と当院の厳格な算出基準について
■ 分母A(全検査数)
当月に実施した大腸内視鏡検査の総数です。
■ 分母B(評価適応数)
ADR・SSLDR・APCの算出に使用する分母です。
当院では純粋な検査精度を測定するため、以下の厳格な基準を設けています。
【対象】45歳以上の方(スクリーニング・症状精査・サーベイランスを含む)
【除外】以下の患者さんは計算から除外しています
・便潜血(FIT)陽性後の精密検査の方
・炎症性腸疾患(IBD)の方
・既知の腫瘍性病変のフォローアップの方
・全大腸観察が完了しなかった検査
※これらを除外する理由は、元々ポリープが見つかりやすい状況にある方を含めると、数値が人為的に高くなってしまうためです。当院では「ごまかしのない品質評価」を重視しています。
■ その他の指標定義
・ADR:評価適応検査のうち、1つ以上の腺腫が発見された検査の割合
・SSLDR:評価適応検査のうち、鋸歯状病変が1つ以上発見された検査の割合
・APC:評価適応検査1件あたりの腺腫切除数
・CIR:大腸の最深部(盲腸)まで到達できた検査の割合
・NNPR:切除したポリープのうち、腫瘍性でないもの(①)または正常粘膜(②)であった割合(不必要な切除を行っていないかを確認する施設内管理指標)
※各定義・除外基準は院内規定に基づき、必要に応じて見直します。
5. この取り組みについて
なぜ品質データを公開しているのか
大腸カメラの「質」は、外からは見えにくいものです。同じ「大腸カメラ」であっても、使用する機器・医師の技術・観察の丁寧さによって、ポリープの発見率は施設ごとに大きく異なることが、国内外の研究で明らかになっています。
当院では、検査を受けてくださる方に「根拠のある安心」を提供するため、ADR(腺腫発見率)をはじめとした品質指標を継続的に測定・公開しています。数字を公開することは、自院への厳しい評価基準を設けることでもあります。それでも公開を続けるのは、透明性こそが信頼の基盤だと考えているからです。
安全性についても同様に、発生した事象を院内で必ず共有し、毎月のふり返りを通じて、安全管理体制の継続的な改善に取り組んでいます。
必要なポリープだけを治療する方針
ポリープには「将来がんになる可能性があるもの」と「放置しても問題ないもの」があります。
当院では、内視鏡専門医の診断眼とAI(人工知能)を組み合わせて、この2つをできる限り正確に見極めるよう努めています。
本当に治療が必要なポリープだけを切除することで、患者さんの体への負担と医療費を最小限に抑えながら、大腸がん予防に取り組んでいます。
6. ご予約・ご相談
「見落としを減らす高精度の検査」と「苦痛に配慮した楽な検査」の両立を目指しています。
下剤が不安・鎮静剤が心配・以前つらかった経験がある――など、どんなことでもご相談ください。
検査は「受ける前の不安」を解消するところからサポートします。
※当院は品質データの公開により、客観的な根拠に基づく医療をお約束します。
